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   ズキズキと頭痛がしてきて額に手を当てた。  部屋の奥に座っている武威を見やると、我関せずな表情でこっちを見ていた。  自分だけ無関係な顔しやがって。 「武威はどうなんだよ」  あまりにも他人事な顔をしているので、悔しくなって話題を振ってみる。 「お前だって、相当告白されているんじゃないのか?」  オレだけという事はないだろう。  フリーだと知られたのは武威も同様なのだから。  どうやら、ウチの生徒たちは安易な思考回路をしているらしいから、こんなオレですからこの状態なのだから、武威だけ無事ということもないだろう。  自分で言うのも悔しいが、特筆する所の無いオレに比べて、武威は見た目も運動神経も良いから、いかにも告白とかされそうな奴だ。 「別に」  しかし、武威は顔色一つ変えずにたった一言で終わらせやがった。 「別に・・・って」  答えになってないだろ。 「蔵原先輩の場合、今更って感じですからね」  ぶっきらぼうな武威の代わりに矢野が口を開いた。  けれど、またしても答えになっていない。 「何が今更なんだよ」 「だって、蔵原先輩に告白しようなんて命知らず、もうこの学校にはいませんよ」  矢野は笑いながらそう言うけど、オレにはまたしても意味の分からない話だった。  それではまるで、武威は今までにも告白なんてされまくっていて、もう既に告白され尽くした、という事なのか?  でも、「命知らず」という表現から察するに、武威は全校生徒から恐れられていて、告白なぞするような対象には思われていない、というのも考えられる。  だけど、どちらにしてもそんな話、オレは全然知らない。  武威は実はモテるらしいとか、もしかしたらみんなに恐れられているのかもしれないとか、そんなの今まで耳にしたこともなければ、気にした事もなかった。  武威の全てを見ている訳ではないのは分かっていたけれど、ずっと一緒にいるのに、武威にオレの知らない部分があるなんて少し寂しい気分になる。
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