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「そんな事より、お前に告白してくる奴はそんなに大勢いるのか?」
強引に話を逸らしたとも取れる武威の質問だったが、オレはあっさりと答えてしまった。
「この3日で6人」
「3日で6人!?」
訊いた武威より、矢野の方が大袈裟に驚いてくれた。
いくら基準が分からないオレでも、この数字が一般的でない事くらいは承知している。
「1日2人ペースですか・・・」
「凄っ」
更に田辺が単純に計算するから、知りたくも無いのに一日平均まで分かってしまった。
矢野もいちいち驚いてくれて気持ちいいくらいだ。
「オレってモテたんだな」
自惚れてもいいセリフの筈なのに、どうしてかあまり気分が優れない。
「知らなかったんですか」
「全然」
考えた事もなかった。
何しろ、中学からこんな男子校にいるから、どんな奴がモテるのかなんて極端な例しか知らない。
極端な例と言うのは、超絶的な美形であるとか、運動神経が飛びぬけている運動部員とかだ。
しかもオレの場合、素直に喜べないのが・・・。
「いくらモテても、男からじゃな」
「だよなぁ」
ほぼ同時にオレと同じ事を考えていたらしい武威が確信を付いたので、思わず激しく同意してしまった。
何が悲しくて、高校最後の年に男からモテなきゃいけないんだ。
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