246人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
「振り回してなんかいない」
むしろ、ここ最近はオレの方が振り回されている。
「それに、告白したのはオレの方なんだから、振られるとしたらオレだし」
「・・・・・・は!?」
「何?」
宮永があまりにも驚いた様子なので、思わず訊き返してしまった。
何か変な事を言っただろうか。
「荻野、蔵原に告白したの?」
改めて訊かれると恥ずかしい。
が、事実なので仕方ない。
「した。けど、あしらわれた」
「あしらわれた?」
「繰り返すなよ。これでも悩んでいるんだから」
ついさっきまで悩んでいた案件が、再び脳内を占める。
「武威はオレとまともに話もしてくれないし、好きなら抱かれたいと思うまで近寄るなって言うし」
「はぁ!?」
宮永が驚きのあまり大声を上げた。
共感してくれるのだと思い、こちらのテンションも上がる。
「だろ? オレもそう思ったよ。こいつマジか、って」
あまりの衝撃に、オレの世界は一瞬止まったくらいだ。
「だけど、考えているうちに、本当はオレの事が嫌いで突き放す口実なのかもしれない、という可能性もあることに気づき」
「どうしてそうなるんだよ!」
オレの推理を遮って、宮永が再び大きな声を上げた。
どうやら、そこは共感してくれないようだ。
「付き合ってるのかと思ったら違うって言うし、なのに告白したとか、抱かれたいと思うとか思わないとか、お前らは一体どうなっているんだよ」
それは、オレが一番知りたい。
オレと武威がどうなっているのかなんて、当人ですらさっぱり分かっていないのだ。
他人に説明できる筈もない。
「あの二年生だって、付き合っていないならどうして一緒にいるんだよ。告白されたんだろ?」
「山岸は友達だから、色々と相談に乗ってもらっていて」
「友達?」
オレの発した単語をいちいち繰り返さないで欲しい。
何か間違った事を言ってしまったような気になるじゃないか。
最初のコメントを投稿しよう!