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第3章 再会
彼女が住む森に着くと、連れ帰った魔王である少年を見せ、自慢するはずだった。
でも、彼女に魔王を合わせると、急に彼女の態度が変わっていったのだ。
とてつもなく、嫌な予感がする。
まさか、彼女がこんな子供と知り合いなはずはない。
それは、僕が思ってもいない彼女の反応だった。
魔王を見て目を見張ったままの彼女の表情。
僕は、すぐに気がついた。
二人は、知り合いだったのだ。
それも、長いこと会えずにいた彼女の愛しい人だ。
案の定、二人は見つめあい再会を喜ぶ恋人のようだ。
「あああぁ?!!」という苛立ちの言葉と深い溜息をつきながら僕は頭を抱えしゃがみこむ。
やってしまった。彼女の思い人を引きあわせてしまった。
僕の淡い初恋は、至らない計画とともに終わりを告げようとしている。
だがしかし、僕は考えた。
魔王の望みは、大人の自分に戻ること。
城のみんなを総動員すれば、叶わなくもない彼の願い。
でも、そんなことをしなければいいのでは?
そもそも、彼のいたずらのせいで魔女に子供の姿にされたのだ。
彼が悪いのではないか?
そうすれば、彼女と魔王の恋は実らないかも?
ずるい僕の考え。
僕は、自分自身の情けない考えに溜息をつきながら空を見上げる。
見上げた空には、僕の思惑とは逆に綺麗な夕空が広がる。
また溜息をつきながら、僕は、僕自身が招いた前よりもややこしくなった彼女との関係になすすべもなく、それでも諦めきれない彼女への思いを持て余し、どうすればいいのかと、また空を見上げた。
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