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第2章 魔王退治
もちろん、国のためよりも何よりも
初恋が叶うかもしれないという淡い期待感。
そんな期待感から、僕は、魔王退治に名乗りをあげた。
だけど今、目の前にしているのは誰だ?
ひどいやつと聞いていたから、どんなやつかと思っていた。
今まさに、魔王退治にやって来た僕の目の前の玉座には、そんなことをするようには見えない少年が座っている。
そして、ずいぶんイケメンだ。
「あのさ、君が魔王?」と一応尋ねて見る。
不思議そうな顔をしてから、魔王と呼ばれた少年は
「そうだよ。」とあっさり答えた。
聞くと、いたずらをしすぎて魔女に捕まり、大人から子供に変えられてしまったらしい。
魔王退治に来た僕は、逆に魔女を探し出して元に戻す手助けをしてほしいと頼まれてしまった。
仕方がない。子供だからとはいえ城に連れて帰らないと手柄にもならない。
とりあえず、城に連れて帰ろう。
それより帰り道、彼女が住む森を通るので、僕のお手柄を見せに行きたい。
ここまでは、全部、僕の思惑通りだと信じていた。
その成功を信じ、初恋を叶えるため、その一心で帰り道を急ぐ。
だけど僕は、後で後悔することになる。
この僕の安易な計画に…。
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