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執筆
それは、『俺好き』の研究を始めて十数年が経過したある日のことだ。
オズボーンは研究室で、とある男との打ち合わせを終えたところだった。
「では、教授。よろしくお願いします」
と、オズボーンはその男が部屋を出ていくのを見送る。
扉を閉めると、中ではマーガレットが嬉しそうにしている。
「教授、おめでとうございます」
マーガレットは深々と頭を下げた。
さっきの男は出版社の人間で、オズボーンの研究が本にまとめられることが決まったのだった。
「いやぁ、まさか、俺の旧時代の『神』の研究が、ここまで認められることになろうとはな」
オズボーンはこれまでの苦労を噛み締めながら告げる。
「当たり前です。みんな、萌えとBLが大好きなんですから」
「……え、認められたのそっち?」
「ちなみに私は、さっきの編集者の方と教授がどうにかなってしまい、そこにファーレンハルト氏が絡んでの三角関係を、……失礼ながら、そんな仮説に胸を踊らせながら、さっきの打ち合わせを見ておりました」
「……ほんと、失礼だな……」
こうして、苦労とか、嬉しさとか、あと何かもろもろを噛み締めながら、オズボーンは執筆を始めたのであった。
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