『神のみぞ知る時代』

解析

オズボーンは解析機のモニターに張り付いていた。

今、密閉された解析機の中で、オズボーンの持ち込んだモノには、四方八方からオメガ線が当てられている。

もう少しだ。

「はやる気持ちはわかる。しかしながら、もう少し落ち着きたまえよ」
椅子に座ってコーヒーを啜りながら、ファーレンハルトが言う。

しかし、オズボーンはモニターの前を動かない。

張り付いたままで、
「俺は確かに見た。あの物体の表面には日本語の『ふ』と『ぢ』の文字があった」
と、息を荒らげている。

そして、

「出たッ」
オズボーンが叫ぶ。

モニターには、
《表面部分 解析完了》
の文字が。

そらから、
「これは？ そうか、これがこの本のタイトルなんだな」
と、オズボーンは察した。

「本当に本だったんだな」
と、ファーレンハルトも驚きを隠せない。

《妹が俺を好きすぎてハンパないんだが、けど、俺が本気で好きなのは兄さんだけだから》

モニターは告げていた。

「え？ ちなみにどこにも『ふ』とか、『ぢ』の文字ないけど？」

「うっさいッ、ファーレンッ。シャーラップ、ハルトッ。お座りッ」

「いや、最初から座ってるよ」

「シャーラップ、ハルトッ。アゲインッ。いいんだよ。本だったんだからッ」