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「まぁ、そうなんだけど、でも、このタイトルは……」
ファーレンハルトは顔をしかめる。
「素晴らしいタイトルだ。かつて、大崩壊直前の文明において、恋愛や性はかなりの混沌性をはらんでいたという仮説があるが、このタイトルはまさにそれだ。ファーレンハルト。俺は仮説が止まらんッ」
そう。
オズボーンは脳内にとある仮説を組み立てていた。
それは、ツインテールで、キリッとした顔の妹が、ちょっとだけ頬を膨らませた表情で、
(ねぇ、お兄ちゃん。いっつも研究ばっかりして、たまには外に出て太陽の光を浴びないとダメだよッ。……もう、しょうがないなぁ。じゃ、私が一緒に街に行ってあげるから。……え? ち、違うわよッ。勘違いしないでよねッ。べつにデートとかじゃないんだからねッ)
という仮説である。
「……こらこら、妹。そんな抱きつくんじゃないよ……」
と、オズボーン。
「仮説は良いから、その前に鼻血を止めたまえよ」
ファーレンハルトは言った。
「は、しまった」
オズボーンはハッとして、鼻血を拭う。
「まあ、とにかく、中のページも解析を進めてみようか」
「おお。ファーレンハルト。よろしく頼むよ」
「うん。任せたまえ。僕も学者だよ。世紀の大発見に興奮せずにはいられないのさ」
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