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:綿花(めんか)に含ませた消毒薬をつければ痛そうに顔を歪める。それさえ、自分の胸に染みいるようで清彦の胸はキシリと痛んだ。
「僕のここ…清彦にしか触らせないとこ…揉むように触った…ここも…女の人みたいに膨らんでないのに嬉しそうに触った…僕…男なのに…」
細く華奢な手が、肌蹴たシャツの上から胸の突起をゆるゆると弄る。その淫靡な姿に清彦は眉を寄せた。
「そうだな…世の中には、同性が好きな人だっている…あいつは…柾樹をいいなぁって思ったのかもな…」
言葉にすれば苛立ちが増す。そして、柾樹もいつか誰かのものになる日がくるのかもしれないと頭の隅を掠めた。
もし、それが自分と同じ男なら…許せるのだろうか。柾樹が誰かを愛し、その人のものになる。
清彦が求めていたものが誰かの手によって形を変え、何の繋がりもないただの使用人になる時がくる。
そんな妄想にガツンと殴られたような衝撃で、そんな未来を受け入れられない清彦は考えるのを止めた。また一人になる日がくる。その現実を受け入れようとも頭が、身体が拒否してしまった。
熱帯夜の夜は湿度が強くなり、雨音が聞こえ始めた。
雨音を嫌う柾樹は首元にしがみ付き、いやな妄想に気持ちの沈んだ自分を抱きしめてくれるように思えた。
「今日は一緒に寝よう。明日になれば雨も上がってるよ」
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