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「おはようございます、柾樹様。朝食の準備が出来ています、こちらへ」
椅子を引いてやるとちょこんと座る。それも幼い頃から変わっていない。
「まずは、柾樹様の食事が先だ。その後で向こうへ行く。それまで皆んなには待機するように言ってくれ」
そう伝えると、来た道を音を立てて帰って行く。清彦は溜息を吐きながら柾樹のそばに座った。
「清彦は食べないの?」
今日は当主に会わなくていいことにホッとしたが、消化しきれていない想いが胸に詰まり、食欲が湧いてこなかった。
「食欲がなくてね…柾樹はいっぱい食べないとな」
うんと頷きパンを頬張る。昨日の出来事で心が病んでいないかと不安だったが、元気に頬張る姿を見て胸をなで下ろす。
未熟児で生まれた柾樹は十八になっても背はあまり伸びなかった。軽々と持ち上がる華奢な身体は、もう少し太ってもいいと思っている。しかし食も細い。清彦は食が進むように毎日の献立を考え、一緒に食事を摂っていた。それは夢描く家族という団らんでもあったのだが。
足音と共にこんこんとドアを叩く音がする。今朝は来客が多いと、ゲンナリしながら立ち上がった。
「今日は玄関から来たぜって、坊ちゃん、今、朝飯?」
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