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毎日、片時も離れず暮らしてきた柾樹は清彦の思惑をはるかに超え成長し、見たこともない艶やかな笑みを浮かべた。
「まさか…そんな気、ないなんて…言わないよね?」
見惚れていた清彦は柾樹の言葉で覚醒する。そう柾樹はあの頃のままではない、十八歳になる青年だと思い知らされる。
「抱くよ、抱きたい。柾樹…」
反転し、シーツに沈められた柾樹は嬉しそうに手を伸ばし、清彦の首に腕を絡ませた。
「愛してるよ、清彦」
触れた唇は牛乳の味がして、幼い頃を思い出し喉元で笑った。
蝉がうるさく鳴いていたあの暑い夏の日、出会った柾樹に囚われ、自分だけが愛していたわけじゃなことに気付かされる。
きっとこの先も柾樹に愛されていくんだろうと、清彦は溢れるものを吐き出すようにその華奢な身体を抱きしめた。
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