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今夜も柾樹の就寝を見届け、自分の部屋へと戻る。
日報なるものを、ここにきた時からずっと日記のように書いている。それに最近では当主との会話も録音している。
何かが起こった時に、柾樹を助けられるならと、いくつものアンテナを張りめぐらせ毎日を過ごしている。
当主が柾樹を構うのも無理はない。
医者が告げ口をしているのがあからさまにわかるのは、十八の誕生日を迎え、柾樹はなんとも言えない色気を放つようになった。生まれ持ってのものなのか、時折見せる妖艶な表情にゾクっとする時がある。あどけなさと大人の色気を放つようになった柾樹に、どう対処していいのかわからない時がある。
清彦自身、ここにくるまでに何人かの女性と付き合ったことがある。それは心底惚れた女ではなく、興味本位の若気の至りだった。祖父母が亡くなった後は、必死に大学の単位を取り、バイトに精を出していた為ここにきてからと言うものそう言ったことからは遠ざかっていた。
そんなものより、清彦が欲しかったものを柾樹が持っている気がした。それは偽りでもいい家族という形だったのかもしれない。柾樹といることで心は満たされ毎日が充実して幸せな時間を過ごしていた。
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