第一章

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ふうっと溜息を吐いた清彦は部屋に備え付けられた風呂場に行き1日の汗を流す。そして零時を回る頃、柾樹の様子を見に行き、起きていれば添い寝をしてやる。この十五年1日も欠かしたことはない。 寝巻きに着替え時計を見る。いつもより早い時間に1日の仕事を終わらせたと思い、窓際の1人掛けソファに二度目の溜息と共に身を沈めた。 この先、当主に柾樹を取り上げられるのではないかと、内心恐怖と戦っている。呼び出される度、体力は倍以上消耗し心労を伴う。 その時、静まり返った屋敷の中で、ガタンっと大きな物音がした。慌てて立ち上がり、隣の部屋へと駆けていく。 いつもならノックをするところだが、嫌な予感が走り勢いよくドアを開けた。 ベッドの横にある窓のカーテンがふわふわと揺れていて、ベッドの上には柾樹ではない黒い物体が覆いかぶさっている。慌ててライトを付ければ、その塊は焦ったのかベッドからずり落ちた。 「誰だ!!」 逃すものかと掴みかかり、その男を背負い投げ飛ばした。仰向けに転がった男を見れば何処かで見たことのある顔だと睨みつける。 柾樹に振り返れば上半身があわらになり、口元に血が滲んでいた。 ワナワナと体が震え出し、頭に血が昇るということなのかと初めて知った。ノシている男を羽交い締めにし肩の関節を外した。     
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