第一章

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ふーんと鼻を鳴らし、そいつを覗き込む。 「で、どうする?」 「穏便に済ませたい。柾樹の為にも家の為にも」 「わかった」 そう言って携帯電話を取り出し、どこかに電話をし手短に話を終えた。 「坊ちゃんは寝込みを襲われたのか?」 しがみついたまま震えている柾樹は聞こうにも離れようとはしない。いきなり入ってきた暴漢に襲われたんだ仕方あるまいと落ちつかせるように髪を撫でてやる。 その様子に溜息を吐いた大吾は、同じように柾樹の背を摩ってやった。 「ご当主に言わないつもりか?」 そう聞いてくる大吾に頷いてみせる。事後報告でも当主は怒りはしない。柾樹に無関心な人だ。以前にも同じようなことがあったと清彦は報告をしない意向を示す。 「まあ、いいけどさ。あまりいい噂は聞かねーぞ、この屋敷。あんまりうまくいってねんじゃねーの?」 それを意図する意味が分からず首を傾げた。溜息を吐いた大吾は耳打ちをした。 「ご当主の仕事だよ。傾いてるって話だ。お前も身の振り方考えておいたほうがいいってことだ」 そんな話は寝耳に水だ。大吾が噂を聞いているなら多少はあるのかもしれない。     
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