冤罪

9/13
前へ
/93ページ
次へ
『いい加減、俺の事は放っておいてくれないか!?』 金田は自分なんかといるより、他の奴等と国の行く末を語っていた方が楽しいに決まってる。 自分の事など放っておいて…… そう言った時、金田は凄く傷付いた顔をしていたのを今でも覚えている。 あの時……あんな顔をさせてしまった事を今でも後悔している。 二度とあんな顔をさせてたまるか…… あいつの笑顔は自分が守りたい、いつの頃からかそう思うようになっていた。 だから、金田が浪士隊に参加すると言った時、自分も着いて行くと言ったのだ。 だけど…… 金田は椿が来てから、誰もいない所でいつも切なそうにしていたのを知っている。 この時、金田が椿に抱いている想いを知った。 決して、叶う事のない想いを隠して、いつものように笑っていた。 それを見ているのが辛かった。 どうして、そんな思いをしてまで笑っていられるのか? 自分に出来る事はないのかと…… その結果は、上條椿を守る事だった。 金田が愛する者を自分が守る事、それが自分に出来る、金田への償いだった。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加