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「お前はいつものように笑っていればいい」
「高山君……」
「俺の命はお前と共にある……だから、謝ってくれるな」
いつになく饒舌な高山に金田は目を見開いた。
それと同時に、こんなにも幸福感に満たされるとは思わなかった。
皆、相楽の志しに惹かれて着いて来た、無論……高山もそうなのだと勝手に思い込んでいた。
「ありがとう……高山君」
「ああ……」
と、短い返事を返し、高山は真っ直ぐ前を見て血の池のように濡れた穴の上に、頭を垂れた。
こうして、六人の処刑が終わった、皆……恨み言一つも言わず散って逝った。
「やっと、自分の番か……」
長かった……
六人の死を見届けなければいけないのは、どんな拷問よりも辛い。
金田は横目で椿の姿を確認した、椿は大木を抱いたまま、肩を震わせ、嗚咽を漏らしていた。
「これ以上、君を泣かせたくはないのにな……」
ごめんね……
金田は心の中で謝った、椿を残して自分が死んで逝く事を……
「君が未来に帰れる事を祈っているよ」
金田は隣りにいる相楽に向かい笑顔で最後の挨拶をした。
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