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とうとう、その名が呼ばれた。
四民が平等で、民が豊かに暮らし、戦のない時代を作りたかった。
ただ、それだけだったのだ……
それなのに……
新政府が出した答えがこれなのか……
私はもう……この歴史から必要のない存在なのだと思い知らされた。
彼女がいなければ、私は世を恨み、人を呪い、本当に悪神となっていたに違いない。
相楽総三、数えで三十歳。
江戸には息子と嫁が、相楽の無事を祈り帰りを待っている。
「すまない……照子……河次郎」
まだ幼い息子は、永遠に戻らぬ父をどう思うだろうか?
偽官軍の烙印を押され、罪人として殺される。
残された家族が辛い思いをするのではないだろうか?
相楽は自分がこれから死ぬ事より、家族や同志の事を心配する、優しい心の持ち主であった。
相楽は立ち上がり、物言わぬ同志の屍の真ん中にゆっくりと膝を着いた。
相楽の後ろに介錯人が立つ、その介錯人に向かい静かに微笑み言った。
「しっかりやれよ」
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