慟哭

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「これから、金輪さんはどうするの?」 「そうだな……先ずは落合さん達にも報告しないと……」 小さな宿の一室で、金輪は胡座で腕を組み考えていた。 滋野井隊の処刑、二番隊三番隊も既に京都に引き返して来ている、その上一番隊まで処刑された。 「一体誰が相楽さん達を殺ったんだ……」 「金輪さん……」 怒りと悲しみで我を忘れそうになる、ここに佐之介と克弘がいる事に感謝した。 「そういやあ、あいつはどうなった!?」 「あいつって?」 「椿だよ!大木達と一緒に帰って来たんだろ!?」 考えてみたら、椿とは下諏訪の本陣で別れたきりだった、金輪は追分で起こった小諸藩ら信州諸藩との戦さで、戦友であった金原を失った事、克弘と椿は江戸に帰る事は叶わず、大木達と共に岩村田藩に身を寄せた事までしか知らない。 「うん、帰って来たよ……でも」 克弘は、大木達と共に椿が岩村田藩から帰って来て直ぐに二人が祝言を挙げた事、だけど……その後行方知れずになり、椿の捜索に出た竹貫と小松も結局戻って来る事はなかった事を金輪に話した。 「俺達……ここに来る前に下諏訪に行って来たんだ」 「相楽隊長と大木さん達は張付田刑場に首が晒されてた」 「……っ!?」 八人の首は一列に並べられ晒し首になっていた、矢来越しに首だけになった相楽を見て、二人は涙を流し、その死を悲しんだ。 そこには椿の姿はなく、今はどこにいるのかもわからない。
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