慟哭

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「椿と大木が……祝言?」 「俺……何となくだけど、これが最後の別れになるって、皆予感していたんだと思う」 だから、反対していた大木を説得し、半ば無理矢理祝言を挙げさせた。 二人が後悔しないように…… 「あいつは……幸せだったんだな?」 「うん、悔しいけど椿姉ちゃんも幸せそうだったよ」 克弘が椿に恋心を寄せていたのは知っている、だけどそれは女としてではなく、母の様に慕っていたのだと思う。 それに、あいつ……大木の事も幼い頃から知っている、女にモテる癖に色恋沙汰にはとんと疎くて、問題ばかり起こしていたから、いつの頃からか女に対して一線を引いていた。 だから、遊びはしても本気で女に惚れる事はなかった大木が、椿に対してだけは違っていた事にも気づいていた。 金輪は普段から隊とは別に秘密裏に動く事が多かった為、あまり椿と接する事がなかったから、いつの間に二人がそんな深い仲になっていたのか知らなかった。 「そうか……そうか……」 金輪は嬉しかった、二人はきっと結ばれる事はないと思っていたから、親心に二人が結ばれた事を素直に喜んだ。 「椿の行方も探さねえとな……明日、下諏訪に行くぞ」 実際に現地で、自分の目で確認しなければ、同志の死を受け入れられない、今はまだ、その実感もなかった。
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