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『正直言うが……私は攘夷と言う志に変わりはないが、尊皇ではなかったのだよ』
『尊皇じゃなかったって……お前』
小島四郎も国学者であるにも関わらず、尊皇ではなかったと話す、ここは尊皇派が多いと分かっていながら、隠し事をせず、素直な気持ちを話す小島に志渡は好感を持った。
『幕臣、勝安房守の影響さ、力のある幕府を助け国を豊かにしたかった……だが、どうだろうか……』
今のこの日の本は、異国と戦うどころか異国の言いなりに開国しようとしている、そうなればこの国は異国に侵略されてしまう、民の平穏が脅かされてしまうかも知れない。
『私達の様な草莽の志士が立ち上がるには、幕府ではない、武力を持った藩の後ろ楯も必要だと思っている』
それは倒幕を視野に入れた発言だった、小島は尊皇攘夷に志を変えて、同じ志を持つ同志を探しているのだと言った。
『今の幕府では国は……民は守れない、どうか私に力を貸して欲しい』
『小島……』
『私一人では何も出来ない、多くの仲間が欲しい……皆、私の友になってはくれまいか?』
小島の言葉に多くの志士達が賛同した、小島がいずれ檄を飛ばした時には、必ず駆けつけると約束した、そう言う者には江戸までの資金を渡す、一人五両ほどの金を人数分、小島は志渡に託した。
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