12人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺が脱藩するって言ったら、お前らも着いて来たがったよな……」
結局、元服前の大木は置いて行く事になり、竹貫と二人で相楽に着いて行く事になった。
「お前は、俺の方が危なくて放っておけないとかほざいてたよな」
相楽の暴走所か、一緒になって暴走しようとする俺達を、竹貫はいつも冷静に止めた。
おかげで命拾いした事も多々あった。
「お前がいたから俺達は生き長らえてきた……感謝する」
金輪は物言わぬ竹貫の首の前で、涙を流す事もなく、昔の思い出に浸っていた。
そして、最後に大木の前に立ち……
「お前は死んだら駄目だろう……誰があいつを守ってやるんだ?」
金輪達が下諏訪に着いた時には椿の行方はわからなくなっていた、明日には追放処分となる赤報隊士達が、各藩士に連れられて、ここから去る予定だと村人から聞いた。
何とかして、その前に話を出来ないかと模索していると……
「金輪さん!ヤバい!誰か来た!?」
「……っ、わかった!今から戻る!?」
今はまだ、捕まる訳にはいかない、金輪はもう一度だけ後ろを振り向き、矢来を乗り越えた。
最初のコメントを投稿しよう!