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「高山君……ごめん」
「……?」
名を呼ばれ立ち上がった高山に金田が声を掛けた。
金田が浪士隊に参加すると決めた時、高山も一緒に参加すると言った。
この時金田は館林藩に仕えており、渋谷に迎えに行くように頼んだのだ。
「俺が浪士隊の参加を決めたのは自分の意志だ、お前のせいじゃない」
「でも……僕に着いて来なければ君は……」
死なずに済んだかも知れないのに……
金田は自分のせいで高山まで犠牲にしてしまったと思い込んでいる、自分が誘わなければ……彼の命まで失わずに済んだのではないか?
後悔ばかりが募る。
「お前がいない世で、俺が生きていても意味がない……」
「……えっ?」
金田にも聞こえないくらいの声で、高山は自分の本当の気持ちを呟いた。
無口で感情を表に出さない高山は、何を考えているのかわからない、人付き合いが悪いと、友と呼べる人間はほとんどいなかった。
一人でもいい……
一人だって生きていける。
そう思っていた時、声を掛けて来たのが金田だった。
金田はうざいくらいの笑顔で、嫌がり無視をする高山の気持ちなどお構い無しに何度も何度も話し掛けて来た。
高山は、どうせ自分といても、面白い事なと何もない、何故金田は自分の事をそんなに構うのか……
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