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一番聞きたかった愛の告白に、花衣は大粒の涙を流した。
そして悔やんだ。
もっと早く、自分が素直になっていれば。
もっと早く、互いの弱さをこうしてさらけ出していたならば。
今日という日は、全く違うものになっただろうか……。
「ごめんなさい……。本当にごめんなさい……。馬鹿な私を許して……。あなたの気持ちに気づかずに、勝手なことをした私を、どうか……」
「君は悪くない。いつまでも君を不安にさせていた、俺が悪い。……怖かったんだ。俺はまともに愛し合う夫婦を知らない。だからいざ君と夫婦になると決めてからも、どうするのが一番夫として正しい道なのか、それが分からなかった。俺がいつまでも本音を言わずにいたから、君も……」
「違う違う」
互いの背に腕を回したまま、花衣は大きくかぶりを振った。
「あなたは全然悪くないの。私が悪いの。私がもっと素直にあなたに甘えて、恥ずかしい本音でもきちんと伝えていたら、あなたはちゃんと受け止めてくれていたはずなのに……」
「いや、やっぱり俺が……」
「違う、私が……」
延々と続きそうな応酬に、しかし二人はふっと黙り込み、無言で見つめ合った。
視線を重ねた直後、気がつくと唇を重ねていた。
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