0人が本棚に入れています
本棚に追加
父の形見
あ、わかっちゃった?
そうなの。キミの彼女消したの私。
このカメラ、お父さんが作ったんだ。形見なの。
こんな寒い日にカメラを向けてここ押すと、
被写体が雪の結晶になって消えるの。
キミの彼女、きれいだったなぁ。
まるで氷の女王さま。
長い髪の一本一本が樹氷みたいに真っ白になって、
キラキラ輝いてた。
涙がダイヤモンドみたいだったわ。
「助けて」って哀願した、
「て」がささやきみたいに聞こえたの。
キラキラ光りながら砂時計が全部落ちる、
そんな感じで消えてった。
さら…っと。
ふふ。
驚いた?
え?彼女の所へ行きたい?バカなの?
どうしても行く?
じゃあ、そこ立って。送ってあげる。
最後におしえて。
なんで私じゃ駄目なの?
最初のコメントを投稿しよう!