父の形見

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父の形見

あ、わかっちゃった? そうなの。キミの彼女消したの私。 このカメラ、お父さんが作ったんだ。形見なの。 こんな寒い日にカメラを向けてここ押すと、 被写体が雪の結晶になって消えるの。 キミの彼女、きれいだったなぁ。 まるで氷の女王さま。 長い髪の一本一本が樹氷みたいに真っ白になって、 キラキラ輝いてた。 涙がダイヤモンドみたいだったわ。 「助けて」って哀願した、 「て」がささやきみたいに聞こえたの。 キラキラ光りながら砂時計が全部落ちる、 そんな感じで消えてった。 さら…っと。 ふふ。 驚いた? え?彼女の所へ行きたい?バカなの? どうしても行く? じゃあ、そこ立って。送ってあげる。 最後におしえて。 なんで私じゃ駄目なの?
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