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その場だけの感情かもしれないと、7月になるまでこの気持ちを伏せて過ごしてたけど、マコへの想いは消えるどころか、日に日に増していった。
理想のお姉様の妄想はしなくなったし、気がついたらマコを目で追っていた。
マコへの想いを確信した俺は、勇気を出して告白をしたんだが……。
「悪いけど、しばらく考えさせてくれ」
これは予想出来たし、夏休み前までは待とうと思ってた。
しかしながら、待てど暮らせどマコからの返事はない。
学校内だとこの手の話はできないから、帰り道にふたりになった時でもと思っていた。マコはそれすらも読んでいたのか、まだ複数人いるうちに、「用事があるから」なんて言って、適当な曲がり角でいなくなってしまう。
そんなこんなで夏休みに突入。
夏休み中は俺の方が忙しくてマコを遊びに誘えない。
バイトはびっしり、父方の祖父母の家と、母方の祖父母の家、それぞれに10日近く泊まるのが、夏休みの恒例で、自由な時間が割と少なかった。
そして今は9月5日。
今日こそはマコに返事をもらう。これ以上そわそわした気持ちで過ごすのはごめんだ。
放課後になると、俺はマコを見張った。俺が告白して以来、コイツは皆で下校してる最中に消えるか、そそくさと出て行ってしまうかのどちらかだ。
逃がすまいとじーっと見てると、マコは珍しく席を動かない。トレードマークのヘッドホンを装着して、外を眺め始めた。
どんなつもりかは知らないが、この機会を逃すわけにはいかない。
俺は下校の誘いも断って、マコを見張りつつ、教室の中を見回す。
何も知らないクラスメイト達は、スマホの画面を見せ合いながら、何が面白いのか、手を叩きながら爆笑している。
頼むからはやく帰ってくれ……。
ふたりきりになれたのは、30分後。
俺は意を決して、マコの前に立った。そんな俺に気づいたらしく、マコはヘッドホンを外すと、俺を見上げた。
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