待ちぼうけ

4/4
前へ
/14ページ
次へ
「どうした?ナオ」 マコは不思議そうに首を傾げる。ったく、どうした?じゃねぇよ……。 「いい加減、告白の返事を聞かせてくれねぇかな?」 態度に出すつもりはなかったのに、つい荒っぽく言ってしまった。 俺がちょっと後悔してるのもお構い無しに、マコは待ってましたと言わんばかりにニンマリ笑って、1冊の本を差し出した。 「はい」 「バカにしてんのか?」 意味不明にも、程がある。 「真剣な返事なんだよ」 マコが切なげに言うモンだから、渋々本を受け取る。 ポケットに入りそうなサイズで、厚さはそんなにない。タイトルは“お へ ん じ”で、作家名は海底金魚。 そういやコイツ、金魚飼ってたっけ。 「読み終わったら、声かけてくれ」 マコはそう言って、再びヘッドホンで耳を塞ぐ。 「訳わかんねぇ……」 不満に思いながらも、俺は前の席の椅子を引っ張ると、その上にまたがって本を開いた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加