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「それでも張本さんからこんなにいいのもらえた事に変わりないんだ、楽しみだ……」
ナオは嬉しそうに箱を見つめる。
「ほら、当たり自慢は聞き飽きたから席に戻れ」
これ以上は耐えられたくて、素っ気なく言ってしっしっと手を振った。
「へいへい、行きますよー」
ナオはチョコを抱えて、自分の席に戻った。
今すぐ机に突っ伏して、みっともなく大声で泣きたい気分だけど、ぐっと堪えて席を立つ。
こんなことはしたくないけど、仮病を使って保健室のベッドを借りた。
カーテンを閉めると、声を殺して泣いた。
ナオが好きだって気づいてから、アタシ泣いてばっかだな……。なんて、片隅で考えながら。
ナオを好きになった瞬間から失恋してるのに、張本さんがナオを好きだなんて、あまりにも酷い……。
アタシ、そんなに罰当たりな事したっけ?
男勝りだから……?
そう考えた途端、ストンと腑に落ちた。
そもそもナオは、大人びて大人しい、それこそ張本さんみたいな子が好きなんだ。
男勝りなアタシが、かなうわけない。
「なにもかも、始まる前から終わってたんだ……」
口に出して言うと、諦めようという気持ちが湧き上がってくる。
アタシとナオは、一生男友達同士。
いつかナオにも彼女が出来て、アタシに紹介する。
そして、そのうち結婚する。もしかしたら、仲人を頼まれるかもしれない。
だったら、このままじゃダメだ。
この際、アイドルでもなんでもいい。好きな人、探さなきゃ。
保健室のベッドで、決心した。
放課後になると、いつものメンバーで帰る。
本当はひとりで帰りたいけど、そんな事をしたら怪しまれる。なによりその行動は、アタシがナオを諦めていないって証明になりそうで、怖かった。
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