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そんな心境の変化もあり、警戒を増しながら話をしていたのだか、やはり不思議と男からは嫌な感じはしない。ソフィアは自身のことでもあるに関わらず、自分がこの男に対してどのような印象を抱いているのか分からなくなってしまっていた。
そんな時、男がとんでもないことを言ってきた。
「あの、突然で申し訳ないのですが、しばらくここに住まわせてもらえませんか?」
「えっ? ここにですか?」
女の一人住まい、しかも初めて会った女の家に住まわせてくれと申し出る大胆さに、言葉を失ってしまう。こんなこと断る以外の選択肢なんてない。間髪入れずに拒否を突きつけようとするが、小さく開かれた口から出てきたのは思いがけない言葉だった。
「良いですよ。どうせ、部屋も余ってますから」
それは本来の意に反した、申し出を受け入れるものだった。
「本当ですか。ありがとうございます」
自分の発言に驚くソフィアだったが、言ってしまったものは仕方ない。それに、安堵したように綻んだ笑顔を見てしまうと、何も言い出せなくなってしまうのだった。
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