それが、答えだ

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────今日、撮影スタジオで人が死んだ。 命を落としたのは僕の親友であり"彼女"の恋人である、一人の男、"彼"だった。 死因は撲殺。彼の頭は真っ赤な色で染まっていた。 「やっぱり、ここにいたんだね」 警察や沢山のマスコミの中を掻き分けて僕は彼女の元へと向かった。 写真を撮ることが好きな彼女らしい、スタジオから歩いてすぐの木の下。 白い雪。お気に入りのカメラ。 "彼"からもらった白色のカメラストラップ。 彼女はそれらを身に纏っていつもと変わらない様子で、今日も写真を撮っていた。 「....どうしたの?」 僕のことなんか気にも留めない様子で、シャッターを切る彼女。 黒い髪と白い雪が共にさらさらと揺れる。 「君に、聞きたいことがあって」 指先が微かに震えたのが分かった。 僕は手に持ったままの自前のカメラを地面に落としかける。 「....恋人を亡くしたばかりの相手に、何を聞くつもり」 雪の中にいる君は、いつもに増して綺麗だ。 黒い髪は君の白い肌を引き立たせてくれる魔法の色。 だからこそ映えてしまったんだ。 ──その色が。 「ストラップ 派手すぎるよ」 「....」 「白、よく似合ってたのに」 僕がそれだけ言うと、彼女はシャッターを押す手を止めてゆっくりとこちらを見た。 雪が舞い、彼女の黒い髪が揺れ、 赤で染まったストラップが、彼女の白い肌に触れたその時──。 「嘘付き」 彼女の綺麗な声が白い空間に響いた。 僕の方を黙って見つめて、ただそれだけを口にした。 心臓が大きく鳴って、彼女の瞳から目が離せない。 僕は手に持っていたカメラを構えて、彼女を写した。 何枚も何枚も。ただこちらを見ているだけの彼女を。 こちらを見て、罪の意識を強調し続ける赤いストラップを。 ──指先はもう、震えてはいなかった。
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