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持参のライトだけが頼り錆びた階段を10分ほど登り続け、出口に到着する。
第1層の空気は先ほど第2層で感じたものをより濃縮し、わたしはそれに顔を歪ませた。天井から名前の知らない錆びた植物の蔦が垂れ下がり、所々から木漏れ日がわたしを優しく照らしていた。
「これ、大丈夫なんですかね」
「大丈夫じゃないからこうして俺たちが来ているんだろ?しっかりしろよ」
となりいた同じ後衛部隊の隊員が、ぼくにそう言った。彼の名前はわからなかった。
滅多にないことだが、ごく稀に重度の感染者が天井からここに落ちてくるらしい。
身体の改造を受けてからディスク一枚で勉強できる。この知識はそういった恩恵で得たものだったが、どうにも現実味が湧かなかった。なんというか、知識に重みを感じられなくなったのが原因かもしなれなかった。
その重みを感じない知識に半信半疑で従い、ぼくは天井を見上げ、スナイパーライフルの銃口を天井に向け続けた。退屈だった。
ぼくはちらりと前を見た。前衛部隊は装備された火炎放射器で永遠と地面を焼きながら、一歩づつ前へ進んでいた。
前衛部隊にすればよかったなと後悔していると、わたしの肩に何かが落ちた感触がした。
落ちてきた箇所へ顔を向けると、真っ黒な、なにかがわたしの全身を包もうとしていた。
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