加治木の二太郎

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キャンバスに描いていた。 「空、空はいいぞ~、青くても、灰色でも、夕焼け色でも」 校舎の裏で行われている非道に先生は気づかない。 ボッコボコに殴られても加治木太郎は倒れなかった。 (下民ごときに屈するものか) 「用は済んだか?」 加治木太郎は逆に非道な下民を煽った。 「てめえ」 一団がまた殴りかかろうとしたその時 「加治木くーーーーーん!!!」 嘘みたいな鈍足でそれでも懸命に走ってきた風太郎 「なんだチビ、お前は」 「中村来るな!お前が来たって」 風太郎は加治木太郎の前に立ちはだかり彼を守ろうとした。 一発、外道の一人のたった一発で風太郎は倒れた。 彼の左目の眼帯が外れる 「なんだこの汚ねえ布っきれは」 外道の一人が風太郎の眼帯に唾を吐きかけた、その時 「うぇたちゃああああああああああ!!!!」 風太郎の激しい咆哮 「見よ!!!!!」 再び立ち上がった風太郎の両目が赤く激しく光った 一瞬 周りが真っ暗になったかと思った刹那 桜島の溶岩をはるかに凌ぐような地獄の業火が一団を襲う 一団は見てはいけないものを見てしまった。 一団は全員倒れその目は開かなくなった 風太郎は左目を左手で隠したまま眼帯を持って加治木太郎を水道場へと誘った 加治木太郎は放心状態だった。 眼帯を綺麗に洗いそして再び左目を覆った風太郎は 「大丈夫?」 「ああ、あんなのたいしたことない、けどお前の目・・・」 「えへへ、秘密ね」 風太郎は照れ臭そうに笑った 「風太郎」 「何?」 「あ、ありがとうな」 「うん、そのそのかわりにお願いがあるんだ~」 「なんだ?」 「目のことは秘密、それと僕と友達になって」 「・・・わかった、まあお前とならなってやってもいい」 「そんなこと言って~ホントはずっと友達が欲しかったんでしょ~?」 「そんなことはない」 「そっか、まあいいや」 「今日は帰る」 「じゃあ一緒に帰ろうよ」 「わかった」 ふたりは友達になった。 同じ日同じ時に生まれた二人が会いまみえたのである それは青い空の加治木中学校で。
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