加治木の二太郎

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、この学校に限り非常ベルは日常ベルとなった。  そんな民度の低い荒れた中学校に、一人の新任の美術教師が赴任した。 のちに加治木中学校伝説の熱血教師となる南賢一郎その人である。 彼の真摯でひた向きな教育者としての姿勢はすばらしかった。 非常ベルや爆竹が鳴れば「絵を続けて下さい!」と美術室から駆け出し心無き生徒を探し立ち厳しい教育的指導をした。それは毎日のように続いた。それが気に食わない不良グループ達は徹底的に「南つぶし」をした。彼の通勤するフランスの大衆車モンパルナスのフロントガラスは割られ、あらゆるところに落書きや黒いスプレーが吹き付けられた。  それはたちまち校内の話題となったが南先生はこれを一笑。 授業の際 「えーこないだ私の愛車モンパルナスのフロントガラスが割られました。フロントガラスは修理しましたが、落書きやスプレーは敢えてそのままにしました。なぜだかわかる者はいるか?」 南先生の問いに誰も答えられる生徒はいません。 すると先生は余裕の表情で 「あれも芸術だからよ」 との答えに生徒たちはどっと笑いだしました。 そしてこの逸話に続いて不滅の教師南賢一郎の名を残した伝説のエピソード 「美術室の
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