海(後編)

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「ありがとう!!」 ジョシュはパッと近づいて、葵にハグをしようとーー 「…何をなさっているのです?」 「お前、葵に触るな」 光と内藤が葵の前に立ちはだかった。 「仲直りのハグだよ?」 葵は貴司の腕の中で、ジョシュから引き離される。 「だーめ!」 貴司はジョシュにべーをした。 「触らせるかよ」 「んー…」 ジョシュはにっこり笑った。 「ますます興味が出た。アオイちゃん…いつか俺のとこにおいで」 「ばっ…!何言ってんだよ」 貴司が怒り、内藤が静かに微笑んだ。 「…この世から消されたいようですね、宮本様」 ガッチリガードされたまま、ヘリポートまでの、迎えの車に乗り込む葵と一行。 ジョシュはニコニコ笑ってついてくる。 「また会おうね、アオイちゃん!」 「…」 ジョシュに目が向く葵の目は、貴司に塞がれる。 「見らんでいい!」 「…貴司」 真っ赤な葵と皆を乗せた車が走り出す。 ジョシュはいつまでもそれを見ていた。 車が小さくなって、とうとう見えなくなる。 「俺を断った女は君が初めてだ…。 叩いたのもね。 ふ…アオイちゃんか…」 ジョシュは微笑んで、ポケットに手を突っ込むと、空を見て、歩き始めた。
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