だって、寂しいって言っていいと思わなかったの

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「そんなこと言って~! 写真部が廃部しないですんでいたのは先輩のおかげですよ。写真を撮ってる時の横顔がいいんですって」 「文化祭の前くらいしかちゃんと来ない人らなんて、居てもいなくても変わんない」 「まぁちゃんと活動していたのはあたしたちくらいですもんね」 「あなたも活動してたとは言い難いでしょ……」  それを言われると耳が痛いけれど、撮ることには興味がないからしょうがない。  中学3年の夏、この学校の見学に来て先輩を見かけた。中学生の見学やら運動部の掛け声やらで賑やかな校庭なんて気にせず花壇の写真を撮っていて、変な人が居るものだと思った。炎天下に居るには涼しげな横顔を見ていると、友達が「バスケ部強いけど偏差値高いよね」と言うので「あ~確かに」と返した。友達は「やっぱ強い部がいいもんね」と笑った。あたしは頷いてから、すぐに後悔した。部長として活躍していた友達と、身長が高いだけのあたしとでは違うと言えばよかった、と。  そう思った時、何故だか友達と花壇に居る人が重なって見えた。似ているとこなんてどこにもないのに。     
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