「子ぎつねエリックの小さな冒険」

「おかあさん、今から出かけてくるよ」

「まぁ、そんな荷物をしょって、何処へ行くつもり？」

「ドリーム小道を通って、フラワー森へ行くんだ」

「まぁ、ピクニックでもするの？それは楽しそうね。でも暗くなる前には必ず帰ってくるのよ。あ、そうそう、それからフラワー森の奥にあるブラックチェリー川の向こうにはぜったいに行ってはだめよ、あそこはね、地面に穴がいっぱいあいていて、怖い怪物が住んでいるの。分かっているわね？」

「わかってるよ」

　お母さんはエリックの頬にキスすると、戸棚からサンドウィッチを取り出しました。

「これをもっていくといいわ。おなかがすいたら食べるのよ。あ、そうだわ、ミルクも持っていった方がいいわね」

　お母さんはエリックにサンドウィッチとミルクを手渡すと、「気をつけてね」と言い、また赤ちゃんをあやしに隣の部屋へ行きました。