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...例えるなら、そう、煙草の様な人。 一度火をつけてしまえば、煙を巻き、 自分をすり減らしていくような。 ポロポロとした灰になって、触れると崩れてしまうような。 見た目とは裏腹に、実は脆い、そんなヒト。 彼女の目の前には、 誰が見ても明らかに幸せであろう花道が、 真っ直ぐと伸びている。 にも関わらず、彼女は後ろを振り返り、周りを見渡す。 雑草だらけの、道とも言えない道を見つけ、 笑顔で自ら踏みならし道を作っていく。 小さな身体で、大きなモノを抱え過ぎるヒト。 そんな彼女を僕は見ていた。 ひたすらに見続けた。 憧れの眼差し、熱い眼差し、優しい眼差し、憐れみの眼差し。 そのどれもが彼女には届かない。
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