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ーーー教授達の自己満足公演を全て聞き終わった午後。 僕はいつも通り首から錨をぶら下げ、キャンパス内の、 いつもは通ることの無い講堂付近を彷徨いていた。 約束の時間まであと17分という絶妙に微妙な時間。 一昨日の夜からずっと続いている妙な緊張感と高揚感は、 増減を繰り返しながら、僕の腹の底を賑わせていた。 たまったもんじゃない。 そしてあの短時間の会話だけだが、それでも僕は 奇抜な彼女と話すのがかなり苦手だと自覚していた。 あの妙な威圧感に圧倒されてしまうのだ。 カメラという錨を首から下ろすことで、 宙に浮くか浮かないかのギリギリを保っている僕にとって、 奇抜な彼女が放つ圧は、中々正面から太刀打ち出来ない物だった。
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