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僕の頭の中で、二人が会話をする。 「助けろよ」 「いや、何もするな」 ありきたりな例えをするならば、 天使と悪魔の囁きといった所だろうか。 天使と悪魔は、いつも僕の頭の中で言い合いをする。 そして僕がそれをなだめる。 天使と悪魔は、互いに極論しか言わない。 それにまいった僕が、間を取る答えを出すと、 二人は満足したように、頭の中からシュンと消える。 迷惑な客だった。 そんな迷惑な来客が来る度、気を使っていたが、 僕はいつしかそれをしなくなった。 すると、天使も悪魔も死んだ。 もしくは、死んだかのように、 僕の頭のどこかに身を潜めているのかもしれない。
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