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それから脳内に音沙汰は無く。 全てが、僕一人による、僕の為の、僕の感情になった。 つまり最終的に、僕が傍観者となったのは、 天使でも、悪魔でも、誰の所為でもなく、 ただ僕の所為となった。 しかし、誰の所為でもなく、全てが僕の所為だと思うことで、 何故か心は軽くなった。 普通であれば、ここは気が重くなる所なのだろうか。 僕は普通な人間ではないのだと、自分でも思う。 未だに、目の奥底のどこかで、 点滅信号のようにピカピカと光る赤いライト。 耳の奥にもこびり付くように、 あの甲高いサイレン音が残っている。 僕は一体、彼女の何だったのか。 時折そんな事を考えはするが、恐らく何者でもない。 ただの傍観者だろう。
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