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鼓
トンっと背中を押され、一歩踏み入れた先は、
僕にとっては未知の世界だった。
後ろで副部長が扉を閉めると、
僕の耳に一気に無数の拾いきれない音が飛び込み、鼓膜を揺らす。
頭が痛くなるような、体を押し戻されるような、物凄い圧だ。
「チンチクリン居るね。けど今スイッチ入ってるからさ。
その辺で適当に見てて!OFFモードになったら連れてくるから。」
そういうと、馴れ馴れしい副部長は僕を置いて
奥の方へと行ってしまった。
呆気にとられ暫くぼーっとしていると、
身体がこの異様な環境に馴染み始めた。
入口の扉近くに座り込み、
ようやく周囲をじっくり見渡す余裕が出来た。
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