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俺は、正直言って神様なんていないと思っていた。
全部、過去の人達の空想で作られたものなんだって。
でも、今目の前のにいる人物を見ると、本当かもしれないと、少し思ってしまった。
「ふむ、ようやく目が覚めたようだな」
目の前の自分が今まで見たことが無い、次元が違い過ぎる美女に少年は話しかけられた。
「私の事は・・・・・・まぁ、分かるはずないな。私は嫉妬の女神だ」
「嫉妬の、女神・・・・・・」
嫉妬・・・・・・七つの大罪? いや、あれは魔王の種類だったか?
「そうだ。とはいっても、別に私自身は嫉妬深い性格ではないのだけどな。寧ろ嫉妬されることの方が多いな」
そんな綺麗な容姿をしてたら嫉妬されまくりだろうな。
「まぁ、そんなことはどうでもいい。死んだお前の話をしよう」
嫉妬の女神の言葉に、ようやく今の自分の状況を理解することが出来た。
「やっぱり、俺は死んだんですね」
「そうだな。私は見事だったと思うぞ。嫉妬している相手を命懸けで助けたんだからな。だか、見事だとは思うが何故助けたんだ? 普通はざまぁみろ、と思うところではないのか」
「・・・・・・」
確かに俺はよく嫉妬していた。
人の才能に、容姿に、センスに、性格、運動神経、色々な物に嫉妬してきた。
勿論俺だって努力してきた。自分楽しいと思えることには、特に力を入れてきた。
でも、壁は越えることが出来なかった。同じ領域に立つことは出来なかった。
自分の限界を嫌という程思い知らされた。楽しいことが嫌いになりかけるほどに。
嫉妬したというか、憎みまでしたと思う。でも、それとこれでは話は別だろ。
「確かに普通はそう思うでしょうね。でも、だからといって助けられる距離にいる人に手を伸ばさないのは話が違うと思いますよ。感覚的にですけど」
「・・・・・・つまり、お前は直観的に、本能的に助けたというわけか? 自分の命が消えるといかもしれないのに」
「まぁ・・・・・・そう言う事ですね。命に関しては、直感的に本能的に動いたんで考えている暇は無かったみたいですね」
俺が答えると、嫉妬の女神は少しの間何かを考え込むように沈黙すると、いきなり笑い出した。
「はっはっはっはっは。なるほど。そうかそうか。お前は本当に面白い人間だな。うむ、私からお前に一つ提案があるんだが聞くか?」
「・・・・・・一応聞いておきます」
折角の女神からの提案なので聞いておく。
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