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おまえの墓の前で
俺は一体
何を待つ
今日はいつもよりも
特別風が冷たい
冬の日で
頬をさすように
吹きすさんでゆく
この風の鋭さを
しのぐ資格さえないのだろうと
そんな考えを抱えたままにも関わらず
身体は巻いたマフラーに
顔をうずめようとする
まるでこの世から
隠れてしまいたいと
言わんばかりに
首をすくめては
暖をとろうとする
それでも
安心できるのは
それでもなお
風は寒さを忘れさせはしないから
その凍えと共に
おまえを忘れずにいられる気がして
誰にも見られることもなく
マフラーの下で
そっと笑った
きっと俺は
おまえと共に
まだ見ぬ春を待っている
どこまでも
おまえと共に
待って 待って 待ち続けてゆくんだ
この髪がやがて
雪より白くなったとしても
いつか来る 春を
肩にかかる綿雪が
暖かく感じたのは
たぶん
思えたからだ
一人ではないとーー
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