第七章  黄金の犬

2/3
前へ
/16ページ
次へ
高い石段の上から、元野良猫のトラが犬に襲いかかって来たり、目の前の木の茂みの中 で、ウグイスが雨宿りしていたり。 30センチ程の亀が歩いているのを見つけたり。  犬は、どうして飼い主の前を歩きたがるのだろう。 綱をグイグイ引っ張って、まるで道標の様に、いつも私を先導してくれた。 誰もいない草むらで、 「今日も、いろいろあったんだ」 目一杯疲れた日は、歩きながら犬に愚痴をこぼした。 犬は、超能力で心を読み取ってくれた。(と、思う) 帰り道、美しい夕日に照らされた茶色い柴犬の体は、黄金色に輝いて、本当に神様の使 いに見えた。  あの犬は、神様のところに帰って行ったんだな。     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加