第三章  出会い

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「・・・・」 オーナーは、黙ってテーブルで待っていて、私はその近くに立ちすくんでいた。 オーナーから見たら、?の客だったろう。 私は、他の仔犬がいるゲージを、なんとなく振り返った。 すると、 「えっと、黒い子、まだ見ていませんでしたね。見てみますか?」 !!! とひらめいたオーナーは、黒柴のメスの仔犬をすかさず抱っこして来た。  私は、黒柴は趣味ではなかった。 (・・・・) 「この子にします」  そう言えば、ペットショップのオーナーは、引き渡しの時、 「噛みますから」 と、言った。 (知っていますよ。仔犬は、新しい歯が生えてくるので、甘噛みしたくなるんです  よね) 私はそう思いながらも、その時のオーナーのチョッとすがるような目が、引っかか った。 (・・・気のせいだろう) 大抵、そういう風に自己暗示をかける時は、気のせいでは無い。    仔犬は、ハッピーと名付けられた。 でも、コイツは、アンハッピーな所がかなりあった。 最初のうち、新しい我が家の環境に慣れるまでは、おとなしかった。 数日たった頃か・・・ 規定量のエサを与えているのに、それを食べ終わるとすぐに、 「こんな少しか? 足りないだろう!」     
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