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由美子は隣の佐知江と、立ち話をしていた。 五歳上だが、気の合う女性であった。 「でね、河野さんったら可笑しいのよ」と佐知江はご近所話に夢中だ。 「へえ」と由美子は応えていたが、頭の中は手紙の彼の事で一杯だった。 そして話が途絶えた瞬間に、尋ねてみた。 「ねえ、私よく知らないんだけど、最上階の方ってどんな人が住んでるの?」 すると佐知江は「どうして?」と聞き返した。 「ほら、あれじゃない。上は見晴らし良さそうだし、値段が少し高いって聞いたから有名人がいるのかな?なんてね」と苦しい言い訳だ。 しかしそこは喋りたがりの佐知江で、色々と教えてくれた。
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