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きっと小田切さんだわ。
勝手に決めつけた由美子はそのジムに、見学を装って彼を見に行こうと決めた。
念入りにおめかしした由美子は、ジムに顔を覗かせた。
「若い子が多いのね…」とぶつぶつ通路を歩いていると「見学ですか?」とスタッフに声をかけられた。
振り返ると優しそうな顔立ちに、ガッシリした体格の若い男性が立っていた。
「え、ええ」
と由美子が応えると「無料体験も出来ますので、是非どうぞ」と男性はチラシと名刺を差し出した。
「小田切 誠さん…ええ!小田切さん?」
この人が?いいんじゃないの!
「は?どうされましたか?」と小田切が聞いてきた。
「は?いえ、別に。ありがとうございます。ほほほっ」と由美子は消え入る様に、その場から立ち去った。
そしていつの間にか、マンション近くの公園まで走って来ていた。
「はあはあ、い、いい感じの人じゃない」由美子は息を整えるべく、ベンチに座った。
そしてニヤついてる顔は、通り行く人の格好の的になっていた。
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