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由美子は寝ぼけ眼で、マンションのロビーに降り立った。 早朝の六時ともなれば、人もまずいない。 「郵便受けが下にあるのも考えものね」と新聞やチラシ、郵便物を抜き取った。 すると、一枚の小さな封筒が落ちた。 「あらもう」と拾ってみると表には、 " 愛しの由美子さんへ " と書いてあった。 「ええ?」 由美子は封筒を胸に押し付けて、周りをきょろきょろと伺った。 桜木 由美子は、四十二歳を少し過ぎたばかりの主婦である。若い頃はパワーリフティングで鍛え上げたものだが、今では二児の母であり、サラリーマンの夫を持つ幸せな家庭を築いていた。 強いて言えば、リバウンドで肉付きのよい身体を何とかしなければと思うくらいだ。 そんな由美子にラブレターが…
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