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「おはよう」とやっとの事で、孝が起きて来た。
孝は桜木家の大黒柱。ではあるが、細っそりとして何処となく頼りなげな雰囲気だ。
由美子とは対照的ではあるが、優しい所が由美子が孝を選んだ理由でもある。
結婚して二十年、由美子に不満は特になかった。
「あなた、今日は早いの?」
「そうだな、いつも通りかな」
「あ、そう」
いつもの夫婦の会話だ。
「じゃあ、行ってきます」と茂夫と陽子は、ランドセルを背負って出て行く。
「車に気をつけるのよ!」
そして由美子は孝を見て「まだ行かないの?」と急かせた。
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