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浩一は通勤電車に揺られていた。 地方出身の浩一は都会の大学を卒業後、そのままこの土地で就職した。 やはり都会に憧れがあったのだろう。 電車が揺れて、少し押される。 隣に立っている女子高生に、ジロッと睨まれた。 何だよ! 確かに太った身体に眼鏡とくれば、暑苦しくも感じるだろう。 だからって満員なのは、僕のせいじゃないだろ。 浩一は朝から憂鬱な気持ちで、車両のドアが開くのをじっと待っていた。 山下 浩一は二十五歳。役所に勤めて三年になる。 年金保険課の相談の相手は殆どが年寄りばかりで、 同年代の女性とは、中々出会う機会がなかった。 そんな時、偶然マンションの下でその女性を見かけたのだ。
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